無問題監督:アルフレッド・チョン/ 原作:/ 70点
■心は人を美しく見せる
岡村君が香港に行ってドタバタする、ラブコメ映画。というか恋愛映画。コメディ部分もあるにはあるのだが、それを忘れるぐらいに恋愛映画として素晴らしい出来だと思う。
もてない男である主人公(岡村)は、分不相応なほど美人な彼女(佐藤康恵)にとうとう振られてしまう。彼女は香港映画界で活躍したいからと、日本を離れ、香港に行ってしまった。彼女を追いかけて取り戻そうと、香港に渡った主人公は、同じように行方知れずの彼氏を探しに密入国してきた中国人女性(ジェシカ・ソン)と出会い....というストーリー。
スタントの仕事を得た主人公は、中国人女性の彼氏探しを手伝うのだが、この女性がもう、不幸を絵に描いたような、典型的な馬鹿な女。どう考えてもだまされているだろうという、シチュエーションにいらいら。日本語が話せない中国人女性との通訳に、元彼女を通訳に使うという、鬼の所業を行う岡村君だが、正直「彼女の方が別嬪さんや」の台詞には全く同意できなかった。どう見ても元彼女の方が魅力的に見えたからだ。ところが... ネタバレ内のエピソードを踏まえた途端、画面内の元彼女があまり可愛く見えなくなった。一方、中国人女性の方は途端に魅力的に見えるようになった。無論、それを意識したメイク・撮影を行なっているのだろうが、「心の中の印象」が変わった瞬間、2人の女性の外見が全く別物に見えるようになったことに驚いた。それだけ感情移入していたということだろう。心の中の印象は人の外見を変えてしまうのだ。
とまぁ、そんなわけで、香港映画にありがちなアバウトな展開は多いし、非常に単純なストーリーではあるものの、恋愛映画としての主軸のぶれない、意外な良作品。カップルで、もしくは彼女未満の女の子と一緒にみるのにむいている。万人に70点ぐらいか。ただし映画マニアに向いた作品ではないかも。「もてない青春時代」を経験したことのあるどんぐさい男なら、主人公に共感できると思う。
ちなみに、元彼女の「私の中国語なんて...」という台詞と表情に、ちょっと萌えてしまうのは男として仕方あるまい。そうやって世の男共は女性にだまされ続けるのだ。
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