ネコナデ監督:大森美香/ 原作:/ 20点
猫好きの心をくすぐって客を集めようという、狙いが露骨な映画の一つ。そんな手に載せられると思うなよと思いつつ、実際にこうしてレビューを書く羽目になっていることを考えると、それなりの需要はあるのだろう。いや、TVでの放映でなければ絶対見てないけれど。
本作品は「厳しい人事部長が子猫を拾っちゃったよ」というお話である。でまぁ、それで全てが終わるぐらいに特に何も無い。 物語は、「部長の新人研修」と「猫と家庭」で描かれるのだが、後者があまりにも薄い。また、どうせ猫好きしか見ていない映画なのに、猫の登場シーンも極端に少ない。飼い始めたらどっかを引っ掻いてとか、粗相してとか、定番過ぎて嫌に成るようなエピソードを避けていることもあり、わかりやすく日本映画にはなっているが、猫萌え映画としては不完全燃焼気味。 かといって、邦画として楽しめるかというと、家庭の不和もなく、新人研修も穏やかに終了でやや退屈。なんだか登場人物が善良すぎるのだ。胃の痛いシーンもないからお子様と一緒にといいたいところだが、お子様に見せると意味のわからないシーンもあるし、なにより猫が出てなさ過ぎる。ちょっと中途半端だろう。 しかしまぁ、良い点もないわけではない。いわゆる「お涙頂戴」構成にしていないので、ウンザリ感はなく、非常に素直に見ることができた。そのあたりは、地味にじんわり来る邦画の良さが滲み出しているとも言える。
そんなわけで、このターゲット不明な猫萌え映画、残念ながら映画としては20点。TVドラマとしてならまあ標準的だと思うけど。
註)ちなみに、部長が猫に対し「そんな猫なで声をだすなよ」というシーンがあるが、猫なで声は「猫を撫でるときの人の声」であって猫の声ではない。まぁ、誤用なのはわかっていて使った台詞だとは思うが、誤用の台詞をタイトルにするというセンスはいかがなものか。再考されたし。 註2)あのスコティッシュ研修初日に拾ったから2週間はたってるはずなのに、生長しなさすぎ。2週間もたったらあの時期の猫は相当大きくなる。多分、猫の出るシーンは二日ぐらいでまとめ取りしたんだろうなぁ。
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