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時をかける少女
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時をかける少女は、細田監督を一躍有名にした青春SF映画である。原作を筒井康隆としたが、タイトルが同じだけで、内容は全くの別物であり、あの「原田知世版」からの続編という位置づけである。ただし、続編と言っても叔母の正体がわからない以外、前作を踏まえた設定は何も無いので、ご安心戴きたい。
主人公の真琴は女子高生。成績も見た目も平凡な、ちょっと間の抜けた感じの少女だ。精神的な成熟度は低い方で、男女間での照れの意識が薄く、卓也や功介と草野球をして日々を楽しんでいる。真琴はある日ある事故に巻き込まれる....が、その時に、時間跳躍の能力を発現する。おばさんである和子に相談するとそれはタイムリープという能力で、思春期の少女には良くあるのだというのだ。やがて調子にのった真琴は些細なことで時間跳躍を行ない、好き勝手をやり始めるのだが...というのが大まかなストーリーライン。
本作品の素晴らしいところは抜けるように鮮やかな映像と、恋心が始まる寸前の微妙な空気の描写。それに終わりを描きすぎず、文学的な余韻を残したところだろう。その爽やかさは万人受けするもので、細かいストーリーなど気にせず、家族みんなで楽しく見るのに向いている。というか、この監督の映画はそういう作品ばかりなのかも。
その一方で、細かいところは気にしてはいけない作品ではある。設定やストーリーには突っ込みどころが満載なのだ。例えば細かいところで言うと、本作品は時間旅行と歴史改竄に対しどのように処理しているか、SF的立ち位置が曖昧である。
以下、軽くネタバレの為、未見の方は注意。
また、時間跳躍能力の使い方にも突っ込みどころが満載だ。
以下、完全なネタバレの為、未見の方はスキップ。
とはいえ、上記のような突込みどころは、本作を台無しにするようなものではない。そもそも相対性理論の理解が進み、「未来ならともかく過去への旅行は不可能」との認識が普通となった現代において、アニメ等の時間を扱ったSFは「光に近い速度で移動することにより、相対的に未来へ進んでしまった」といった設定が主流になりつつあり、つじつまのあった時間跳躍などというSF自体が難しい。また、「ジョジョの奇妙な冒険」などの世界がそうであるように、物語を面白くする為なら、ある程度のご都合主義は必要悪なのだ。というか、この監督はご都合主義で物語を書かせてこそ生きる監督なのだということが、サマー・ウォーズを見て解った。なのでみんなも欠点には目をつぶるように。
そんなわけで大して期待せず見たにもかかわらず、驚くほど素敵だった本作品。万人に80点。個人的に推したいので81点にしておきます。これを見てから、サマー・ウォーズを見ると、「つじつまが」なんて周囲の雑音に耳を傾けなかった監督の強さが、如何に素晴らしい物を産み出したかが解ります。合わせてお勧め。
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