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パプリカ

監督:今 敏/ 原作:筒井康隆/ 85点

今敏監督が筒井康隆の同名の小説をアニメ映画化した作品。なんと筒井氏直々の依頼であったとの事であるが、その期待を裏切らない名作だ。

 

主人公はDCミニという他人の夢に潜り込む機能をもつ、接続端末を利用するサイコセラピストである。物語は、DCミニの機能を悪用する何者かとの対決という、ミステリ/アクション的な展開で構成される。正直なところ、勘の良い人なら犯人はすぐわかってしまうため、ミステリとしての過大な期待をしてはいけない。

そもそも本作の脚本は、物語の主軸こそ原作に沿っているものの、ドロドロした人間関係や、わかりにくい理屈等は大胆に端折っており、非常に単純。ラストの15分はちょっと展開の安易さに物足りなさも感じる。あまりそういう脚本の深さに期待してみるような作品では無いのだ。その代わり、本作の魅力となる映像の邪魔をしないという点では好感が持てる。何でも複雑なら良いというものではない。

 

さて、本作の魅力の映像。夢と現実をごっちゃにした世界は、ど派手な色彩と大友監督ゆずりの書き込みっぷりでまさに混沌。筒井康隆の描く境界の曖昧な世界を見事に表現している。

作画の方針もなかなか面白い。同じカラフルな映像でも4℃のそれが水彩画のような淡い表現なのに対し、こちらはあくまでべっとりとしたセル塗りで、ポスター的。夢の世界という事もあって、物の形がぐにゃぐにゃと変わったりする様が楽しい。あくまで「アニメ」で勝負といった画作りで、最近のCG偏重の映像とは趣を異にする。昨今のリアル志向が進んで大胆な描写ができなくなってしまった、生真面目な描写を見慣れた目には、非常に新鮮に映った。こういうぬるぬるした動きこそアニメの楽しさの原点だった気がするのだ。

また、個人的には主人公のキャラクタデザインが非常に気に入った。あの神経質そうな/あっけらかんとした描写は小説を読んだ際の脳内イメージそのままで、ちょっとゾクっとした。

 

そんなわけで、この世界観と映像を楽しむべき名作品。一般人に80点。マニアに90点。これでラスト周辺をうまく盛り上げてくれたらもう100点だったのだが、実に惜しい。

 

 

実はこの作品を千年女優より先に見た。8月22日にこの作品を見て「また好みの監督に出会えた」と喜んでいたのだが、なんと翌々日の24日に46歳の若さでお亡くなりになってしまった。なんという事だ....。今監督のご冥福をお祈りします。これから監督の残りの作品を大切に見せていただきたいと思います。

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