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崖の上のポニョ

監督:宮崎 駿/ 原作:/ 72点

崖の上のポニョは宮崎駿御大の新作だ。大まかに言えば映像80点、物語30点と言うところか。見て損をする映画ではないけど、大興奮もしないなと言う感じ。

映像については、確かに全て手書きで行ったと言う水の表現は面白いと思った。CG慣れしていない一般人には、CGの方が綺麗に映るかもしれないが、CG慣れした人間から見ると、アニメにおけるCGはとても普通に見えることがある。例えば、ゲドのあの「波打つ石造りの建物の屋根」を見ると「マトリックスのあれね。はいはい」ぐらいにしか思わなかったりするわけだ。それに比べて駿氏の書く水の動きは独特で面白い。津波の表現も独特。正しい宮崎ワールドだと思う。ゲドとは天地の差。

ただし、逆に言えばそういう高評価を与えられるのは映像慣れしている人だけではないのかな、とも思う。あの波の形、動きは本当に面白かったけど、それをCGを駆使して、手書きとリアルな水面の間の絶妙なラインにチューニングしたら、誰もが高評価を与えたのではないか。あの手書きはもの凄い技術だが、もの凄い「技術」を感じさせてはアーティストではない。アーティストたるもの技術なんて見せずに、映像そのものを見た瞬間に「凄い!」と思わせてナンボだと思うのだ。そこが宮崎氏本人が落胆したと言う「意外に子供に受けなかった」部分ではないのかと思う。技術でうならせるのは芸術家ではなく職人である。いや、動きは本当に凄かったのだけれど。水の動きにあんな原画がかけるのは宮崎駿しかいないとは思う。その辺はけなしつつも80点というあたりでお察しください。

物語については、迷走したなと言う感じ。迷走しているうちに凄いものが出てくるのが氏の作品の良いところではあるが、今回はツギハギな印象。

 

以下極力ネタバレを避けて書きますが、多少内容に触れます。未視聴のかたは注意!

 

だらだら書いたが、結論としては「映像は面白い。でも明確な解説を求める!」ってとこだろう。とりあえずレンタルかテレビで何度か見直して、どう解釈すれば良いのかは考えてみたいが、映像の凄さの割には映画館でもう一度と言う気にはなれないという印象。

「カリオストロ」信者は「千と千尋」や「ハウル」を否定するが、自分はどちらも結構好き。「千と千尋」はかなりの名作だと思う。しかし、ポニョは理解しきれていないし、なんともいえないなぁ。