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ライラの冒険 黄金の羅針盤

監督:クリス・ワイツ/ 原作:フィリップ・プルマン/ 48点

ライラの冒険はこのところ乱発するファンタジ映画化作品の一つ。しかし、結果から言うと、あまり成功したとは言い難い。

 

まず、原作を読んでない人は完全に置いてきぼりにされる。baristaは読んでいないのだが、実際にそうなった。いや、個々の行動にはついていける。ストーリーはわかる。だが、「だから何?」と思ってしまうのだ。一つ一つのエピソードの掘り下げが足りないため、非常に薄っぺらい感じ。学芸会の劇の脚本と同じで、流れがわかるだけで、感動する点がないのだ。

例えば、主人公は何故あの女について行ったのか。「現実から一歩踏み出す」「旅にでる」といった行動には、その決意にいたるまでの葛藤が必要となる。しかし本作ではその描写が足りないため、「おてんば娘が金持ち女についていったら実は怖い人だった」程度にしか見えない。

ライラが「羅針盤」を使いこなせるようになるまでの描写も理解不能。「最初はあてずっぽう」だったはずなのに、鎧探しの際には建物の名前まで指摘している。最初から才能がある描写にして回りが驚くとか、徐々に使い方を理解する過程を書くとか、何かやり様があるだろうに。

また、ダイモンの掘り下げも足りない。「ダイモン」自身はジョジョにおけるスタンドのようなかなり面白い設定なのだが、それを切り取るとどうなるのか、切り取ったダイモンはどこかで生きているのか、消えてしまうのか、などの説明がないため、一連の事件の「怖さ」が伝わってこないし、「泣き所」が作れない。それとダイモンは人が死ぬごとにキラキラと火花となって飛び散る。ところがその描き方がアバウトで、戦闘シーンには凄惨さが感じられず、まるで花火大会だ。

 

映像はまぁまぁ。動物はCG丸出しで、ピクサー映画みたいだが、まぁ、ナルニアのライオンと良い勝負。ただ、ナルニアのほうが人形による撮影が多かった分、アラは目立たなかったなぁ。決して、ロードオブザリングやハリーポッターと比較してはいけない。

ライラ役の演技はなかなかだったし、二コール・キッドマンの演技はレオンにおけるゲイリー・オールドマン的で気持ち悪くてよい。ただ、こんな脚本では演技力をもてあましたに違いない。

 

とまぁ、そんなわけで、期待していた分ちょっとがっかり。バイオハザード2・3の方がずっと面白かった。一般人に50点。マニアに20点。子供に60点。夢見がちな少女に60点。

 

んなわけでbaristaからみた有名ファンタジランキングは以下。

映像ランキング

指輪⇒ハリー⇒パン⇒ナルニア⇒ライラ

脚本ランキング

パン⇒指輪⇒ハリー⇒ナルニア⇒ライラ

家族向けランキング

ハリー⇒ナルニア⇒⇒⇒ライラ⇒指輪⇒パン

映画マニア向けランキング

パン⇒⇒指輪⇒⇒⇒ハリー⇒⇒⇒⇒⇒⇒ナルニア⇒⇒ライラ

 

全部見終わった今、以前酷評したナルニアや指輪の出来のよさに気づいた。ファンタジって難しいのね。