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バイオハザード2

監督:アレクサンダー・ウィット/ 原作:/ 70点
バイオハザードII アポカリプス

バイオハザードII アポカリプス

価格:1,179円(税込、送料別)

正式名称はバイオハザードII アポカリプス。海外ではResident Evil:Apocalypse。アポカリプスと言えば黙示録の事だが、キリストの再来を歌うのはやや大げさかなという印象。まぁ、良いけど。

 

「ゲームの映画化はハズレ」という先入観を打ち砕いた名作と言えばトゥームレイダーとバイオハザードの2作だ。バイオハザード1は原作と殆ど関係が無い代わりに、かなりの名作だった。一方、この2はというと、原作要素を盛り込んだ代わりに、やや単調な作品になってしまった印象。

 

ゲーム版バイオハザードを知らなかった人にとっての1はサスペンスホラー的要素が強く、セルなどに似たパズル要素もあり、エンディングも衝撃的でと、非常に凝ったつくりとなっていたが、2は単なるゾンビ映画。1のエンディングで黒幕の存在が明らかになったわけだが、その黒幕の行動理念がまた単純お馬鹿。今時そんなわかりやすい悪人はナシだろう。後先考えず下らない研究にいそしみ、危なくなったら証拠隠滅、だなんて行き当たりばったりにも程がある。

意にそまぬ行動を人に強制するには色んな方法があって、そういう部分の巧さを見せないと、悪人が魅力的に描けない。例えば戦時中、日本軍兵士は捕まって拷問の生き恥を晒すぐらいなら自決せよと教えられていた。しかし、アメリカ軍は日本語を勉強して捕虜をホームパーティーやダンスパーティーに誘い、美味しい物を与え、家族のように接したのだと言う。その結果、拷問と自決の4文字しか頭に無かった日本軍兵士は、日本軍の情報をペラペラ話したのだとか。(アメリカを悪役扱いするわけではないが)現代映画の悪役に必要な「怖さ」というのはそういう怖さだと思う。

本作は大衆向けホラー作品として仕立て上げたのだろうから、確かに凝った演出は不要だと思う。しかしいくらなんでも肝心のボスがあれでは「ガキ大将」にしか見えない。いつ部下に射殺されて立場を乗っ取られてもおかしくないぞ。

 

また、2を見て思うことは、「どこを見て感動すればよいのだ?」だろう。「あの博士」も全然人道的ではないため「あの娘」を救うためのみんなの行動も、ちっとも感動的に感じない。ゲームマニア達は「待望のジル様登場」に萌えるのかもしれないが、それ以外の人は主役不在のストーリー展開にいまひとつ感情移入できない事になる。なんせ主役はスーパーマンなので、我々一般人が感情移入するには強すぎる。

 

一方映像はなかなか格好良い。タイラントとの戦闘シーンや、PVにも使用された、ワイヤー一本で撮影されたという「ビル駆け下り」のシーンなど、絵的に素晴らしい箇所は多数。物理法則を疑いたくなるようなトンデモアクションが満載だが、その点は主人公がスーパーマンなおかげで違和感無く見る事ができる。ケガの巧妙か。

 

脱ぎたがり女優、ミラ・ジョジョヴィッチらしい最終シークエンスはなかなか良い。毎度「次回が見たくなるよう宣伝する終わり方」は巧いなと思う。ただし、1⇒2が期待の割には....だった事もあり2⇒3もどうなる事やら。

 

厳しいことばかり書いたが、ホラーが平気な一般人に80点。大抵のホラー映画より圧倒的にお金がかかっているので映像的には楽しいし、それなりに爽快感もある。マニアには60点。特に脚本に拘りのある人には勧めない。一方映像に拘りのある人なら楽しく見られるかも。ホラー嫌いは見なくてよろしい。前作と異なり、気持ち悪いのを我慢してまで見るほどの作品では無い。前作は我慢してでも見るだけの価値がある、本当に「怖い」作品だった。