百万円と苦虫女監督:タナダユキ/ 原作:/ 78点
■蒼井優の魅力爆発
不器用な女を主人公にしたジュウヴナイル映画。とにかく不器用な主人公は、あれよあれよと流され、ふと気がつけば刑務所へ。この顛末は正直見ていてイライラする。 そんな彼女が出所後に選んだ道は、「100万円ためて引っ越して」を繰り返すことだった。誰も私を知らない世界で生活したい。壮大なる現実逃避の始まりである。
内容以前にまず、蒼井優の存在感が凄い。 いきなりこんなことを書くのもなんだが、蒼井優がなぜ可愛いのか、普通に考えると全く理解できない。顔はどうみても栄養失調気味な中学生男子のそれだし、ひょろっと背が高く凹凸の少ない肉体に性的魅力は皆無。普通に考えれば美人のジャンルには属さないはずの風貌だ。 しかし、それでいて彼女は、蒼井優にしかない美しさを持っている。とにかく不安定で危なっかしい、「女子中学生を冷凍保存した標本」のような存在感は彼女独自のもの。稀代の女優だ。そしてこの映画は、そんな彼女の存在なくしては成り立たなかっただろう。他の誰が演じても白々しい物となったはず。
正統派ジュウヴナイルとして出会いと別れによる成長物語をつむぐのかと思いきや、それをぶちまけたりするセンスは見事。ただそれだけに、見終わった後になんだかすっきりしないものが残る。最後の彼女の笑顔は果たして成長した女のそれなのか、視聴者に疑問を残すものとなっている。
甘酸っぱくてイライラする、そんな作品に抵抗がないならお勧め。一般人に70点。映画マニアに75点。蒼井優ファンには90点。邦画らしい良い邦画だと思う。
Copyright barista 2010 - All rights reserved. |