Lord of the Flies作者:William Golding/ 原作:/ 81点
「性善説」と「性悪説」という考え方が存在する。前者は「子供は善なる者として産まれ、後に悪意を学んでしまう」という考え方であり、逆に後者は「悪なる者として産まれ、後に教育によって是正される」という考え方である。
本作は無人島に墜落した飛行機の生存者の姿を描いた作品である。特異な点は生存者が全て少年である所だ。数十名の少年達はそこでの生活で仮の社会を築き、やがて激突し、崩壊の時期を迎える。
カルネアデスの板を仮定するなら、極限状態においては殺人すら罪とならない。しかし、未だ善悪の評価の固まらぬ少年達にとってはその前提すら不要だ。彼らが築いた社会にはそのような法がない。善悪の元に社会が築かれるのではない。社会が善悪を定義するのだ。作中の少年達の行動に善悪を定義することは難しい。そしてその思想は人間全体に汎化可能だ。
「この行為は善ですか?悪ですか?」 「まちなさい。君はまだ善と悪を定義していない」
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