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探偵伯爵と僕

作者:森 博嗣/ 原作:/ 95点
探偵伯爵と僕

探偵伯爵と僕

価格:2,100円(税込、送料別)

■子供と子供を持つ夫婦の必読書

 

「探偵伯爵と僕」は「講談社ミステリーランド」という企画物の作品の一つである。この企画は「大人が読んでも楽しめる」レベルの子供向けミステリー作品である事がコンセプトで、他にも小野冬由実など錚々たるメンバが作品を書き下ろしている。そういった視点から見るとこの作品は、コンセプトを120%満たした、化け物作品であるといって良い。

 

主人公の「僕」はある日、アールあるいは探偵伯爵を自称する、奇妙な黒ずくめの男にであう。物語はこの奇妙な男と「僕」の間の会話と、行方不明になった友人たちについての事件で構成される。

 

この作品は物語としても面白いが、非常に教育的な側面も持つ。例えば探偵は華々しい推理で難事件を解決したりしない。あくまで常識的な証拠主義にて事件は解決され、日本の司法制度などへの理解が深まるようなつくりとなっている。また物語の中の伯爵やチャフラ嬢は、「僕」への会話を通じて、世の中の「当たり前」や「善悪の定義」、「死刑制度の是非」など、哲学的な内容を子供たちへ教えてくれる構造となっている。

また、本作は大人に対する教育的側面も持っている。大人になると忘れてしまいがちだが、子供は自らが子供として扱われる事を望んでいない。薄っぺらな嘘も、子供だからと気を使った隠し事も大嫌いなのだ。作中の伯爵は、そういった正しい子供に対する接し方を読者に教えてくれる。

 

また、最後のどんでん返しも見事。一枚ヴェールを作る事で、理解できない年代にも、理解できる年代にも物語として楽しめるようにしている。それと同時に、厳しい現実を包み隠すのではなく、子供にそのまま突きつける姿勢には大人の本気を感じる。

 

子供と一緒に読みたい家族に100点。それ以外の人に広く90点。少年探偵団で夢を見せたら、本作で現実も見せてあげよう。

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